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新型コロナ:米、8月に現金給付第2弾 共和が1兆ドル追加対策法案 - 日本経済新聞

マコネル院内総務(左)とトランプ大統領(20日)=AP

マコネル院内総務(左)とトランプ大統領(20日)=AP

【ワシントン=河浪武史】米共和党の議会指導部は27日、1兆ドル(約105兆円)規模の追加の新型コロナウイルス対策法案を正式に提示した。8月中にも2500億ドル規模の現金を家計に再支給するほか、失業保険の特例加算も減額して延長する。民主党は3兆ドルの巨額財政出動を求めており、法案成立は8月にずれ込む可能性がある。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務らが27日、関連法案を上院に提示した。記者会見したマコネル氏は「既に3兆ドルの財政出動に踏み切ったが、経済再開の状況をみた上で、1兆ドル規模の追加対策が必要だと判断した」と主張した。

追加対策には家計への直接支援を再び盛り込んだ。8月中にも大人1人あたり最大1200ドルの現金を支給する。3月下旬に決めた経済対策第3弾でも同規模の現金給付を発動しており、今回で2回目だ。年収9万ドル以上の高所得者は対象外とするが、支給額は全体で2500億ドル規模と試算され、家計の手元資金の枯渇を防ぐ。

7月末で期限が切れる失業給付の特例は、加算額を減らして12月末まで延長する。現在は州が支給する失業給付(平均370ドル程度)に加え、連邦政府が週600ドルを上乗せしている。共和党案は10月初めまで加算分を200ドルに減らし、その後は州の支給分と合わせて失業前の給与の70%を上限とする。失業給付の特例加算は2500万人が支給対象になっているとされ、失業者の7割が以前の給与を上回る給付を受けているとの試算もあった。

中小企業の支援策も部分延長する。従業員の雇用を維持すれば給与の支払いを連邦政府が肩代わりする仕組みだが、8月7日が申し込みの最終期限だった。これまでは従業員500人以下の企業は全て対象だったが、共和党案では売上高が5割以上減った企業に対象を絞る。ほかにも雇用を増やした企業には税額控除などで財政支援する。

米政権と議会は3月以降、経済対策を3回にわたって発動してきた。財政出動は国内総生産(GDP)の15%にあたる3兆ドル規模に達しており、1兆ドルの追加案が決まれば、コロナ対策は通常の年間歳出(4.4兆ドル)に迫る巨額の財政出動になる。米経済は新型コロナの感染拡大が止まらず、追加の大型景気対策が必要になった。

もっとも、関連法案の成立には、下院で過半数を占める野党・民主党との合意が必要だ。民主党は下院で既に3兆ドル規模の追加対策案を可決済みで、財政支出の規模や具体案を巡って共和、民主両党には隔たりがある。

焦点の失業給付については、民主党は週600ドルの特例を維持したまま期限を延長するよう求めている。共和党は感染による企業の訴訟責任を減免する「コロナ免責法案」を要求するなど、両党の調整は難航が必至で、7月中に追加対策が成立しない可能性もある。失業給付の特例が一時的に切れれば、回復途上にある米景気の新たな重荷となる懸念がある。

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