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新型コロナ:FRB議長「力強く積極的に経済支える」記者会見要旨 - 日本経済新聞

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見した。冒頭発言の要旨は以下の通り。

FRBは22年末までゼロ金利を維持する=ロイター

FRBは22年末までゼロ金利を維持する=ロイター

我が国は引き続きパンデミック(世界的な大流行)による困難かつ試練のときを迎えている。将来に関して大きな不透明感が漂う。FRBはあらゆる手段を強く講じる。経済への打撃を最小限に抑え、回復をできる限り力強いものにするため、安心と安定を提供する。

新型コロナウイルスとその封じ込めのための手段は経済活動を急減速させ、失業者は急増し、4月の消費や生産の指標を急速に悪化させた。4~6月期の実質国内総生産(GDP)は最も厳しい記録的な落ち込みとなりそうだ。

予想に反して5月の雇用統計は改善したが、2月以降で2000万人近くの職が失われた。失業率は(2月以降)10ポイント近く上がり13.3%となった。ただ(理由不明の)求職者の存在で(5月の)失業率が過少に見積もられている可能性がある。

経済の悪化は全ての人に平等にのしかかっているわけではなく、重荷を背負うのが最も難しそうな人が最も大きな影響を受けている。失業者の増加は特に低所得層や女性、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系の働き手にとって厳しい。

ここ数週間で小売りや自動車販売などいくつかの指標は経済の緩やかな回復を示唆した。5月には一時帰休から職場に戻ったことも失業者の減少につながった。社会的距離を取る制限が緩められ、人々はより動き、多くの企業は様々な段階で活動を再開している。同時に多くの家計は政府の経済対策による支給と失業保険を受け取り、収入と消費を助けた。

だが経済全体が生み出す付加価値は(新型コロナ)以前の水準をはるかに下回る水準にある。失業率は歴史的な高水準にあり、需要の弱さが消費者物価を低下させる。結果的に物価上昇率は我々の目標の2%をはるかに下回っている。

経済活動の停滞の長さと回復の速さは極めて不透明だ。ウイルスの封じ込めに成功するかどうかに大部分が依存している。我々は皆通常の状態に戻りたいが、完全な回復は人々が様々な範囲の活動に復帰する上で安全だと確信を持てるまで生じないだろう。経済の落ち込みの深刻度は、公衆衛生の危機が去ったときに、回復を促すための政府の政策にも依存する。FRBは米国人のための最大雇用と物価安定という目標を、金融市場の安定とともに導く。

我々はあらゆる手段を使ってこの試練のときに経済を支える。3月には素早く政策金利をゼロ近辺に引き下げた。経済の視界が晴れたと確信が持てるまで維持する。信用の流れを支えるための幅広く力強い手段もとってきた。信用取引の維持は経済への悪影響を最小限に抑え、回復を促す上で不可欠だ。3月以降、我々は相当な量の米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を購入し、市場の円滑な機能を支えてきた。市場機能の改善に伴い、我々は国債購入量を徐々に減らした。我々は今後数カ月にわたって、少なくとも現状のペースでの購入を続ける。

我々は注意深く進展を見守り、我々の目標を達成するために適切に計画を調整する。家計や企業を直接支援するプログラムも実施している。前例のない水準に資金供給量を増やせているのは、議会や米財務省の支援によるところが大きい。経済がしっかり回復軌道に乗ったと確信が持てるまで、力強く、先回りして、積極的に我々の力を使い続ける。危機が去った後は、緊急対応の施策は道具箱に戻すだろう。

これらは融資能力の拡大であることを強調しておきたい。FRBはお金を特定の受益者に与えることはできない。返済されるとの前提のもとに、融資を促すための仕組みを作るだけだ。多くの借り手は恩恵を受けるが、返せない融資を受けることは解法にならない。こうした場合は直接の財政支援が必要だ。経済対策は人と企業を直接助ける。直接支援は経済への長引く影響を最小限に抑える上で決定的な役割を果たす。

我々は、イールドカーブに沿って政策金利目標を定めることについて、歴史や諸外国の経験を点検した。我々の政策手段に合うかどうかはまだ議論の余地がある。我々は今後の会合で議論を続ける。経済の軌道がよりはっきりするのに合わせ、我々の政策姿勢と対話について評価したい。

四半期ごとの経済予想サマリー(SEP)も再開した。7~9月期に経済の回復が始まると見ており、ゼロに近い現状の水準の金利に支えられ、(回復は)2~3年は続くとみられる。もちろん考えられるあらゆる結果を考慮して政策を決めるのであり、特定の見通しに基づくものではない。

最後に、この国の人種不平等の痛みを再び浮き彫りにした悲劇的な事件について述べたい。FRBは全米に奉仕する。我々は人種の平等に向けて取り組む米国の多数の共同体の一員だ。FRBは人種差別を受け入れない。我々の社会もそうすべきでない。あらゆる人が社会と経済に参加する機会を持つ資格がある。

これらの原則は金融政策を通じて、我々を多様性と包括性に導くものである。我々の仕事は公平に信用が使われることを担保するものだ。FRBの仕事は全米の共同体や企業に接するもので、公的な使命に資する。我々はあらゆる手段を講じて経済を支え、困難な時期を抜け出すことを助ける。

――FOMC参加者の間で景気見通しに差があるが、金融政策への評価は。

「現在の金融政策は、この難しい環境で景気を支えるのに有効に機能しており、金融市場の関係者にも十分に理解されていると思う。2022年まで政策金利の引き上げはないという見通しで参加者は一致している。経済への信用供与についても大規模な資産購入を引き続き実施していく。金融政策は適切な状態にあるとみている」

「イールドカーブ・コントロール(YCC)は景気の先行きについて新たな動きが見えてくるのに伴い、次回以降もその必要性を議論する。金利引き上げはまだ考えてもいない」

――2%の物価目標を急いで達成する必要はあるのか。

「前例のない緊急融資プログラムを導入し、これ以上引き下げ余地のない水準まで利下げした。必要があればさらに政策を修正する用意もある。今後数カ月で景気動向について新たに知ることが山ほどあり、物価見通しについても同様だ」

「128カ月間にわたる景気拡大期でもインフレ率は2%を安定して維持したことはなかった。物価上昇に対する我々の能力については謙虚になる必要がある。失業率が高水準にあるときはなおさらだ。2000万人以上の雇用が失われたいま、目標達成への道のりが長いことを率直に認める必要がある」

――新型コロナの景気への長期的な打撃をどう見るか。

「生産能力に関する要素として、まず失業率が長期にわたり高止まりして人々の仕事のスキルが下がり、復職が難しくなれば労働参加率が下がるリスクがある。資金不足で廃業を迫られる優良な中小企業が増えることも避けたい。我々が長期的な雇用見通しを変更しなかったのは、政策によってこうしたリスクを避けられるとみるからだ。我々は人々が復職したり新しい職に就いたりできる環境を生み出し、景気への長期的な打撃を避ける状況をつくろうとしている」

――景気の底入れについての見方を。経済見通しには、今後の財政政策の影響も含むのか。

「今年半ばに景気が底入れするとの予測が多いが、まだ大きな不確実性を伴っている。5月の雇用統計は労働市場が底入れした可能性を示した。ひとつのデータを過剰評価するのは避けなければならないが、労働市場についてはその可能性があるとみている」

「我々は見通しに不確実なものは含めないようにしており、大規模な追加の財政支出は考慮していない。財政支援があればより早期に回復が見込めるが、財政政策は議会が決めることだ」

――失業率の予測を踏まえ、恒久的な雇用喪失はどの程度になると考えるか。追加の失業手当は必要か。

「すぐに仕事に戻れない人々は数百万人に上る可能性がある。働いていた産業にしばらく職がないかもしれない。他の産業に移って初めからやり直すのも難しい。金融危機で生じた状況だ。こうした人々にはさらなる支援が必要になりそうだが、私は議会に具体的な助言をするつもりはない。だからこそ我々は景気回復を支えるためにできる限りをしようとしている」

「5月の雇用統計の改善は喜ばしく、人々は今後も良い数字がでることを期待している。多くの人が悪化を予想していたなかで、今回の改善が何を意味するのかまだ我々にも分からない。(正社員を希望しながらパートタイムで働く人を含む)失業率は7%から21%と3倍に膨らんだ。まだ不確実性が高く、様子を見る必要があるだろう」

――市場機能の改善度合いは。社債の買い取りなど企業支援策の今後についてはどうか。

「市場機能は改善しているが、パンデミック前の2月の水準にはまだ戻っていない。流動性は高まったが、この状況を是とするわけではない。社債購入は企業の財務支援につながる。企業融資プログラムは機能させるための最終段階に入っており、週後半にも開始できるだろう。融資額の上限と下限を広げたほか、返済期間も大きく延ばした。今後も必要に応じて変更を加える。プログラムは必要がある限り実施する」

――FRBの低金利政策が富の格差拡大につながっているとの指摘もある。

「我々は、広範な金融情勢に焦点を当てており、特定の資産価格の水準を目指しているわけではない。2月末から3月初めに起きたのは、市場機能の停止だった。企業や人々は借り入れや借り換えができず、金融システムの機能不全が経済ショックの負の影響を増幅させかねない状況だった。我々のとった手段は市場機能を回復させるものだった」

――新型コロナ感染の「第2波」に対する懸念は。

「まず問題となるのは人々の健康だ。さらに回復しはじめた経済の妨げとなる懸念が出てくるだろう。国レベルでなく、地域レベルのわずかな感染者数の再拡大でも、旅行や飲食店での食事、娯楽に対する人々の意欲が損なわれる可能性がある」

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June 11, 2020 at 04:06AM
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