■数学的観点から所得控除の効果を検証する
前回に引き続き所得税に関する話だが、今回は控除によるメリットの大小について、数学的な観点から考えてみたい。
ビジネスパーソンの場合、給与収入から、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除などの「所得控除」を引いたものが課税所得となる。ここで質問だ。元々何もなければ課税所得300万円のAさんと、同700万円のBさんがいる。しかし、不幸なことに2人は大病を患い、100万円の医療費控除を受けることになった。2人のうち、どちらのほうがメリットが大きいだろうか。
前回で説明したように、所得税の税率は累進課税で7段階に区分される。計算の詳細は省くが、Aさんの本来の所得税は20万2500円。Bさんのそれは97万4000円だ。
医療費控除を受けたとき、Aさんの課税所得は「300万円-100万円=200万円」。所得税は図(左)のように累進課税により2段階に分けて計算する。課税所得195万円以下の税率5%と、330万円以下の税率10%に基づき、「195万円×5%+(200万円-195万円)×10%=10万2500円」が実際の所得税となる。本来の所得税である20万2500円に比べて、10万円の減額となった。
一方、Bさんの場合、「700万円-100万円=600万円」が課税所得になり、所得税は図(右)のように3段階に分けて算出する。「195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(600万円-330万円)×20%=77万2500円)が実際の所得税となる。
■課税所得の高い人ほど、よりメリットを受ける
つまり、本来の所得税である97万4000円に対して、20万1500円もの減額だ。つまり、同じ100万円の医療費控除なのに、所得税が減る金額には10万1500円もの差が出た。数学的な観点から説明すると、所得控除は税率の高い部分の課税所得を減らすため、課税所得の高い人ほど所得税が減る額が大きくなり、よりメリットを受ける。
ところで、所得税の控除には所得控除のほかにもう1つある。課税所得に税率をかけて計算した所得税から直接控除する「税額控除」がそれだ。ビジネスパーソンにとってお馴染みの「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が、その代表である。税額控除は所得税から直接引かれるので、課税所得の多い少ないに関係なく公平といえるが、見方によっては所得の低い人が有利とも考えられる。
所得税40万円のCさんと、同10万円のDさんを例に見てみよう。ともに10万円の住宅ローン控除を受ける場合、Cさんの最終的な所得税は「40万円-10万円=30万円」、Dさんは「10万円-10万円=0円」だ。元々の所得税に対する減額率は、Cさんが「10÷40×100=25%」、そしてDさんが「10÷10×100=100%」となる。つまり、税額控除の場合は所得控除のときとは逆に、所得の低い人ほどメリットが大きいことになる。
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さんきゅう 倉田(さんきゅう・くらた)
芸人・元国税局職員
大学卒業後、東京国税局に入局。法人税の調査を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに入る。お笑い芸人として、税務調査やガサ入れのネタなどでメディアやライブに出演。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』がある。
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芸人・元国税局職員 さんきゅう 倉田 構成=田之上 信
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