かんぽ生命保険の不適切販売で、重要事項説明を怠るなどの法令違反や社内規定違反の疑いがある契約が1万件前後に拡大していることが15日、分かった。持ち株会社の日本郵政と、傘下のかんぽ生命、日本郵便の3社は18日に最終報告を公表する。金融庁と総務省はこれらの報告も踏まえ、月内に行政処分を行う方針で、日本郵政の長門正貢社長ら経営トップの進退が焦点となる。
長門社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長が18日に記者会見する見通し。外部の弁護士らによる特別調査委員会(委員長=伊藤鉄男弁護士)も同日、原因や再発防止策について報告する。
日本郵政グループは7月、不適切だった可能性のある契約が18万3000件(契約者数15万6000人)に上ることを公表。関係者によると、これまでに約12万人の契約者への聞き取りが終わり、法令・社内規定違反の疑いが残る契約は1万件前後に膨らんだ。ただ、聞き取りと並行して契約に関わった社員への調査も行っており、最終的に違反が確定できる契約はこのうちの一部にとどまる見通しという。
9月末に公表された中間報告では、約6万人への聞き取り調査の結果が示され、法令・社内規定違反の疑いがある契約は計6327件だった。
特別調査委は、郵政グループ内で顧客からの苦情などが情報共有できていなかったことや、過剰なノルマ(営業目標)が不適切販売の拡大を招いたと指摘する方向。取締役会が執行部を監督するコーポレートガバナンス(企業統治)が不十分だったとして抜本的な再発防止策を求める。
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