経営再建中の百貨店「大沼」(山形市七日町)が27日、山形地裁から破産手続きの開始決定を受け、営業を停止した。日本百貨店協会に加盟する県内唯一の百貨店で、山形市の中心市街地の象徴的存在だった商業施設の破綻は、街の将来に影を落とし、住民や行政には衝撃が広がった。【後藤逸郎、的野暁、渡辺薫】
山形市内で会見した長沢光洋代表取締役は「経営トップとして320年の歴史を閉じることは非常に重く受け止めている」と陳謝した。大沼は全店舗で営業を停止し、従業員の再雇用のめども立っていない。約5億円の退職金や1月分の給与も払えないことから、国の支援制度を頼みにするなど、地域経済への影響は計り知れない。
破産を選んだ理由として、長沢氏は2019年10月の消費増税による売り上げ減のほか、同年3月に経営権を巡る対立の結果、追放した東京の投資事業会社「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」が大沼から資金還流したことが響いたと主張した。ただ、大沼は同年3月から経営不振を改善できず、中間決算を出せないなど資金不足は慢性化していた。
ランドセル、学生服引き渡されない可能性
一方、突然の破産申請による混乱も広がっている。大沼は新年度に入学する小学生のランドセルや中学生の学生服の注文を受け付けていたが、制服の一部は業者に対する支払いが終わっておらず、品物が購入者に引き渡されない可能性がある。これに対し、長沢氏は「破産管財人の指示に従う」と述べるにとどまった。
大沼を中心市街地活性化の核としてきた山形市は、商工観光部の山口範夫部長が記者会見に自ら出席して、異例の質問を行うなど、行政も動揺が収まらない。
山形市長「非常に残念」
佐藤孝弘山形市長は27日夕、市役所内で山形商工会議所の後藤完司会頭らと会談後に取材に応じ、「市民が親しんだ百貨店の倒産は非常に残念」と述べた。経営再建の難航が表面化した昨年2月、特定の会社名を挙げて「買い支えていく」と市民に呼び掛ける異例の記者会見を開いた佐藤市長は、ハローワークを活用した従業員の再就職、取引先への融資制度、テナント企業への市内空き物件のあっせんなど、商議所と連携して支援する考えを示した。後藤会頭は「自己破産に至ったのは残念。地域経済や市民生活への影響が最小限となるよう万全を期したい」とコメントした。
代表取締役「経営判断甘かった」
大沼の長沢光洋代表取締役の一問一答は次の通り。
――今春卒業する学生の制服やスーツなどは引き渡せるか。
◆ランドセルと一部の制服は引き渡せる。管財人の指示に従い粛々と対応したい。
――商品券の扱いは。
◆行政指導の下、換金(還付)する。満額は戻らない。
――閉店を決意したのはいつか。
◆1月中旬から破産の相談を弁護士とした。昨年10月にも考えていた。
――(昨年10月の)消費増税や台風がとどめを刺したのか。
◆暖冬の影響もあって婦人服のコートなどが売れず、(昨年)10月から背筋が寒くなるほど売り上げが悪化した。
――(閉店を考えた)昨年10月以降も継続した理由は。
◆判断が甘かった。消費増税による売り上げ減少は一過性の問題と捉えた。
――(スポンサーの資金援助頼みになり)経営の主体性を失った認識はあるか。
◆失ったということはない。(スポンサーに)感謝の気持ちしかない。
――従業員に退職金は支払われるのか。
◆大沼が持っている資産で支払うのは不可能。退職金、未払い金を合わせて、国の立て替え払い制度に申請する形になるだろう。
――米沢店は閉店セールがあったが、なぜ本店はなかったのか。
◆他に大きな拠点があれば成立する話だったが山形本店しかない状況で取引業者に協力を仰ぐのは現実的でなかった。
――途中で辞めたいと考えたのでは。
◆MTM(マイルストーンターンアラウンドマネジメント)から引き受けたその日(2018年5月)に辞めようかと思った。資金の入れ方、抜き方はおそらく金融商品取引法違反ではないかと考えたが、MTMから『必ず戻すから』と言われ、信じてしまった。
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January 28, 2020 at 07:30AM
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