東芝の連結子会社の東芝ITサービス(川崎市)で架空取引が見つかった問題で、同社が商品の売買契約を結んだシステム開発会社のネットワンシステムズ(東証1部上場)を含め、少なくとも5社が架空取引に関わっていたことが判明した。複数の関係者が明らかにした。複数の企業の間で、取引の実態がないのに帳簿上は実在するように装う「循環取引」が実行された疑いが出てきた。
システム開発会社の富士電機ITソリューション(非上場)と、リース会社のみずほ東芝リース(同)が架空取引に関与した疑いが新たに判明した。2019年4~9月期に、ネットワンと、システム開発会社の日鉄ソリューションズ(東証1部上場)の間に他社をはさむ形で機器の取引が2巡する契約になっていた。東芝IT、富士電機IT、みずほ東芝の3社が介在している。その後、日鉄ソリューションズからネットワンに機器が販売され、取引が一巡した形になっているが、実際に機器が取引された形跡は見つかっていないという。
東芝ITが架空取引によって19年9月中間期に計上した売上高は総額200億円規模と見込まれる。東芝ITとネットワン、日鉄ソリューションズが関わる取引は15年に始まっており、架空取引による東芝ITの売上高は累計で400億円超に膨らむ見通しという。5社以外の企業が循環取引に関与した可能性もある。
東芝ITがネットワンの担当者から求められ、取引実態と異なる内容を記した資料を提出していたことも明らかになった。東芝ITが扱う機器の購入先と販売先が、ともにネットワンになっている不審な資料も見つかった。機器の価格や販売先はネットワンが調整していたという。
東芝ITの担当者は一連の取引が架空との認識はなかったと説明しており、東芝は18日、「主体的な関与を認定する証拠はない」と発表した。ネットワンと日鉄ソリューションズは国税当局から架空取引の疑いを指摘され、昨年12月から特別調査委員会を立ち上げて調べている。関係者が架空取引を認識していたかが調査の焦点になる。(小出大貴、笹井継夫)
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