米航空機大手ボーイングは16日、2度の墜落事故を起こして運航停止中の最新鋭機「737MAX」の生産を来年1月から停止すると発表した。当局から安全性の承認取得が遅れているためだ。運航再開のめどが立たず、事業計画の抜本的な見直しを迫られた。業績の悪化が避けられない情勢だ。

生産再開の時期は未定。2021年度以降に30機の導入を予定する日本のANAホールディングスを含め、各国の航空会社や部品メーカーの事業に影響が広がる可能性がある。

ボーイングは声明で「当局のあらゆる要求を満たすのが義務だ」と強調した。生産停止に伴う従業員の削減は行わない。

墜落事故は昨年10月にインドネシア、今年3月にはエチオピアで発生し、計346人の犠牲者を出した。事故原因は、機首の上がりすぎによる失速を防ぐため、自動的に機首を下げる「自動失速防止装置」の誤作動とされる。

ボーイングはシステム改修を急ぐ一方、今年3月に航空会社への納入を停止した。翌4月に減産に踏み切ったものの、現時点で約400機の在庫がある。このまま生産を続ければ駐機場所の確保などコストがかさむと判断したとみられる。

ボーイングは11月、来年1月にも運航再開できる見通しだと発表していた。(共同)