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世界の新車販売20年も前年割れ 独自工会見通し 中国落ち込み - 日本経済新聞

VWのツウィッカウ工場は20年6月に「ゴルフ」の生産を終了し、EV工場に転換する

VWのツウィッカウ工場は20年6月に「ゴルフ」の生産を終了し、EV工場に転換する

【フランクフルト=深尾幸生】独自動車工業会(VDA)は4日、2020年の世界の新車(乗用車)販売台数が3年連続で前年割れするとの見通しを発表した。19年は5%減の8010万台と見込んでいる。20年は19年見込み比1%減の7890万台と予測する。中国市場の落ち込みが続くほか、米国市場も振るわないためだ。自動車各社はさらなるリストラを迫られる可能性もある。

19年の新車販売台数は18年より410万台減る見込み。独自工会によると、リーマン・ショック直後の09年より減少幅は大きいという。最大の要因は最大市場の中国で、19年は18年比10%減の2090万台に落ち込むと見ている。第2位市場の米国も2%減で、欧州は前年並みにとどまる。

20年は、中国の減速ペースは低下するものの販売台数は19年比で2%減少する見通し。米国は3%減、欧州は2%減だ。欧州では、20年から部分導入が始まる二酸化炭素(CO2)排出規制で販売が混乱する可能性がある。

VDAのベルンハルト・マテス会長は声明で「主要市場で成長を後押しする要素が見当たらない。競争は激しくなり逆風は強くなる」と警戒感を示した。

ドイツ市場については19年は4%増の357万台で着地する見通し。ただし、20年は4%減と予測する。独フォルクスワーゲン(VW)や独BMWなどドイツ車のシェアは世界的に上がっているが、生産は影響を免れない。

独メーカーによる世界の乗用車生産は18年に1630万台だったが、19年と20年は1600万台前後にとどまる見通し。電気自動車(EV)や自動運転車など次世代技術への投資がかさむなか、市場が停滞しドイツの自動車各社は大規模なリストラを余儀なくされている。

ダイムラーは22年末までに全世界で1万人以上の従業員を削減する。オラ・ケレニウス社長は「売上高がもっと伸びると想定したが現在の状況は誤算だった」とコスト削減の必要性を強調する。VW傘下の独アウディも25年までに従業員の約1割にあたる9500人を削減し、独2工場の生産能力も減らす。

コスト削減のためのリストラは、米ゼネラル・モーターズ(GM)や日産自動車など世界の自動車大手に共通する。だが国内生産の4分の3を輸出し、ガソリン車やディーゼル車に強い生産基盤を持つドイツ車にとってEVへの転換も重なって、二重で重荷となっている。

VWは国内工場をEVに転換し、人件費の安い東欧などにグループの傘下の複数ブランドを生産する工場を新設する戦略を進める。

VDAのマテス会長は「政策決定者はこれまでよりも求められている。ドイツを『全天候型』の生産地にしなければならない」と述べ、政府に対し法人税や電力料金の低減、人件費の抑制などの保護を求めた。

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