サービス業と製造業で景況感の差が際立ってきた。日銀が13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、10月の消費増税が向かい風となった小売りや外食の景況感が前回の増税時ほど曇らなかった。軽減税率やキャッシュレスの還元策が下支えした。海外の経済の減速を受ける大企業製造業は悪化が続く。米中の貿易協議が今後の景気を左右する。
13日の短観では景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)が大企業製造業でゼロとなり、9月の前回調査と比べて5ポイント悪化した。
一方で市場関係者は、内需が底堅かったことを驚きをもって受け止めた。大企業非製造業のDIはプラス20で、前回調査に比べて1ポイントの悪化にとどまった。中でも宿泊・飲食サービスはプラス11と2ポイント改善した。
想定を超える恩恵があったのがラグビーワールドカップ(W杯)だ。ホテルニューオータニ(東京・千代田)では期間中の宿泊客の外国人比率が8割に達した。
帝国ホテル東京(同)は11月の客室平均単価が4万480円と前年同月に比べて2709円上がった。同社は「12月も客室平均単価は2千円ほど上がりそう」とする。
増税後の10月は小売販売額が前年同月比7%減と2014年の増税直後(4.3%減)以上に落ち込んでいた。百貨店や家電量販店で消費増税直前の9月に駆け込み需要が盛り上がり、その反動減も大きくなったためだ。12月短観の業種別のDIでも大企業の小売りはマイナス3と前回から7ポイント悪化した。
ただ、14年の増税直後の短観での小売りは悪化幅が23ポイントに達した。今回は小幅だ。3カ月後の見通しを示す先行き判断DIはプラス5と回復を見込む。消費の基調を決める雇用・所得環境が堅調なほか、「政府の増税対策の効果も出ているため」(JPモルガン証券の鵜飼博史氏)との見方が多い。飲食料品への軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元などが下支え役になっている。
外食業界は価格帯の低いチェーンを中心に客数が戻り始めている。10月は台風の影響もあり、業界団体まとめでは同月の売上高は前年同月比2.4%減だった。11月は牛丼店「すき家」が3.1%の増収。「ガスト」などのすかいらーくホールディングスも11月から増収に転じた。
今回の短観は企業の設備投資意欲がなお旺盛な様子も映した。全規模・全産業ベースでみた19年度の設備投資額は前年度比3.3%増の計画で、前回調査(2.4%増)から上方修正された。人手不足を踏まえた省力化投資や、次世代通信規格「5G」への対応など成長分野への投資が続けば、日本経済の成長を後押しする要因になる。
一方、輸出依存度の高い製造業には不安心理が残っている。大企業製造業の業況判断DIは4四半期連続で落ち込み、悪化幅は市場の事前予測よりも大きかった。先行き判断DIもゼロで横ばいを見込む。大和総研の小林俊介氏は「非製造業の健闘に対し、製造業の不調ぶりが際立つ」と指摘する。
業種別では自動車や生産用機械の悪化が目立った。世界的な貿易の停滞や10月の台風19号に伴う一部工場の操業停止の影響が色濃く表れている。
今回の調査では、11月27日の回答基準日時点で7割の企業が回答している。米中貿易協議が一部妥結に近づき、制裁関税が緩和される見通しになるなど、輸出環境を好転させうる足元の動きは織り込まれていない。
内需が支えてきた国内景気の緩やかな回復だが、外需の低迷が続けばいずれ雇用環境の悪化や設備投資の縮小などを通じて内需減速にも響いてくるとの見方は根強い。製造業の持ち直しが景気の持続力を左右する大きなポイントになる。
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December 13, 2019 at 09:00PM
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