
日産自動車と仏ルノー双方のトップとして、長年にわたって連合を率いてきたカルロス・ゴーン元会長が巨額の報酬をめぐって逮捕された事件は、国内外に大きな衝撃を広げた。それから1年。日産が腐心してきた“ポスト・ゴーン”の経営体制づくりはどこまで進んだのだろうか。(経済部記者 鈴木啓太・大江麻衣子・佐々木悠介)
大きく揺らいだブランド

事件のあと新規の顧客が減少し、“お得意様”からも日産への不信感や厳しい声が寄せられた。販売店の立場から信頼回復に向けて何ができるのか。井谷氏は、自分たちの不安を押し殺し、それまで以上に丁寧な接客で顧客の不信感を取り除こうと地道に取り組んできたと言う。

「日産のガバナンス(企業統治)の改善は進んでいると聞いている。12月に発足する新経営陣には、しっかりと改革を進めてほしい」
改革のさなか、ルノーとの綱引き
柱になるのが「指名委員会等設置会社」への移行。社外取締役が中心になって人事や報酬を決めることで、経営の透明性を高めようというものだ。
6月の株主総会で、11人の取締役のうち、過半数の7人が社外取締役になった。(それまでは8人中3人が社外取締役)

株主総会を前にルノーは、新設される「指名委」「報酬委」「監査委」の3つの委員会で、ルノー出身者のポストを増やすよう要求。採決の棄権すらちらつかせたことで、結局、日産はルノー側の主張を受け入れた。改革には一定の妥協も必要だった。
改革の証左、トップ交代

9月の取締役会では、不透明な報酬の問題を抱えていた西川氏に対し、取締役会が一致して即座の辞任を要求。皮肉にも西川氏は、ゴーン事件を受けてみずから率先して推し進めたガバナンス改革の成果として、辞任を受け入れることになる。

その後決まった新たな経営体制では、商社から日産に転身した内田誠社長(53)、日産の関潤副COO(58)に加えて、提携関係にある三菱自動車工業からアシュワニ・グプタCOO(49)を迎えることになった。(いずれも12月1日就任予定)
若返りを図るとともに、異色の「トロイカ体制」で経営のかじ取りを担う。
どう見る、日産の改革
この1年の日産の改革の歩みをどう見るか。多くの企業の再建に関わり自身も大企業の社外取締役を務める、経営共創基盤の冨山和彦CEOは、こう話す。

「だからこそ、大株主のルノーから何と言われようが、日産のステークホルダー(一般株主・取引先・従業員など)にとって最大の利益になることに徹して、きちんとガバナンスを行使していくということに尽きる。どういう覚悟と意志を持ってガバナンスに取り組むかが、これから厳しく問われることになる」
どう持たせる、実効性
東芝のように、社外取締役の増員などに率先して取り組み、優等生とされた企業でも、不正会計問題を防げなかった。
弁護士や会計士、企業経営者らの顔ぶれがそろい、女性や外国人の社外取締役も増えてきた。今後問われるのは、そうした社外取締役の経営チェックの実効力だ。専門家からは「形式を重視するあまり人数を確保することに終始し、業種や会社の規模に関係なく、似たような構成になりかねない」という指摘もある。
かつて粉飾決算に揺れたオリンパスは、主要株主のファンドのパートナーに加え、海外での医療ビジネスを担える人物を新たに社外取締役に迎えた。本業に通じた人物の目利きを生かしたいというねらいだ。

彼らのチェック機能と、若返りを果たす「トロイカ体制」が、継続的なガバナンス改革や喫緊の業績回復、ルノーとの関係の再構築といった多くの課題にどこまで成果を挙げられるか。日産に、足踏みをしている時間はない。

経済部記者
鈴木 啓太
平成15年入局
経済部から帯広局で1次産業を中心に取材
現在、自動車業界を担当

経済部記者
大江 麻衣子
平成21年入局
水戸局 福岡局を経て
現在、自動車業界を担当

経済部記者
佐々木 悠介
平成26年入局
静岡局、浜松支局を経て
現在、自動車業界を担当
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November 18, 2019 at 04:58PM
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