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キリンHD、米クラフトビール3位を買収 - 日本経済新聞

キリンホールディングス(HD)は20日、米クラフトビール大手、ニュー・ベルジャン・ブルーイング(コロラド州)を買収すると発表した。海外子会社を通じて2020年3月末までに株式を100%取得する。買収額は非公表。全米に販売網を持つニュー・ベルジャンの強みを生かし、海外のクラフトビール事業の拡大につなげる。

キリンHDが買収する米ニュー・ベルジャン・ブルーイングのクラフトビール「ファットタイヤ」

キリンHDが買収する米ニュー・ベルジャン・ブルーイングのクラフトビール「ファットタイヤ」

ニュー・ベルジャンは小規模生産でビールの味や香りの独自性を出すクラフトビールメーカーの米国3位。キリンHDは20年1~3月には買収手続きを完了する見通し。買収後も最高経営責任者(CEO)は続投し、従業員の雇用も維持する。

代表的なブランドである「ファットタイヤ」や「ブードゥー・レンジャー」などニュー・ベルジャンは40種類以上のブランドを全米で展開する。2018年の売上高は2億ドル(約218億円)。年間販売量は約10万キロリットル。米西部の本社工場のほか、南東部のノースカロライナ州に生産拠点がある。日本やオーストラリアにも一部を輸出する。

キリンHDは日本国内や豪州、米国などクラフトビールの盛んな地域で事業拡大に注力してきた。米では16年、米東部で人気の高いブルックリン・ブルワリー(ニューヨーク州)に24.5%出資した。ニュー・ベルジャンが全米に持つ販売網を通じ、ブルックリンの業容拡大も模索する。

米国における18年のクラフトビールの販売量はビール市場全体の約13%を占める。金額ベースでは約24%に達し、一大勢力になりつつある。クラフトビールはニューヨークやボストンなど東海岸の都市部、西海岸ではオレゴン州などで販売が伸びている。米国では今後も成長が期待される一方で、資金力に課題を抱えるクラフトビールメーカーも出始めている。

キリンHDは海外ビール事業の選択と集中を急いでいる。業績の低迷が続いたブラジル市場から17年に撤退し、成長の見込めるフィリピンやミャンマーに集中投資してきた。クラフトビールでは豪やニュージーランドを統括する事業会社、ライオンが豪のクラフトビール市場でシェア首位を誇る。ライオンを通じて英国にあるクラフトビールメーカーを18年、19年にそれぞれ買収した。

日本国内でクラフトビールの販売量はビール市場全体の1%に満たないものの、大手4社ではキリンHDが最も事業拡大に力を注いでいる。高級価格帯のビールの主力ブランドの一つに育てる戦略だ。キリンビールが過半を出資し、米ブルックリンと設立したブルックリンブルワリー・ジャパン(東京・中野)が20年2月、クラフトビールを提供する旗艦店と位置付ける常設の直営店を都内にオープンする予定だ。

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