理化学研究所と富士通は16日、共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」(神戸市)が計算速度を競う世界ランキング「TOP500」で世界一となり、前回の今年6月に続く連覇を達成したと発表した。世界ランクは国際会議で約半年ごとに発表される。日本勢の連覇は、先代の「京(けい)」が2011年6月と同11月に世界一になって以来の快挙。
計算速度のほか、産業利用で用いる計算手法の性能、人工知能(AI)分野で使う計算性能、ビッグデータ解析の指標となる性能の3部門でも首位となり、世界初の4冠となった前回の地位を守り抜いた。
前回のランキングでは機材の搬入から間もなかったこともあってマシン全体を使えず、完成時の8割程度の計算速度で登録したが、今回は全てを使い、前回を上回る数値で4冠を達成した。
理研・計算科学研究センターの松岡聡センター長は「突出して世界最高性能であることを、6月の前回のランキングの時点からさらに性能を向上させる形で、再び示すことができた」とコメントし、「新型コロナに代表される多くの困難な社会問題を解決し、わが国のイノベーションを先導していく」と期待を込めた。
富岳は来年度の本格稼働を目指しているが、すでに新型コロナウイルス関連の研究で今年4月から使われ、大きな成果を出している。
◇
主なスパコンの順位と計算速度(1秒当たりの計算回数、京は1兆の1万倍)は以下の通り。
(1)日本・理化学研究所「富岳」 44京2010兆回
(2)米国・オークリッジ国立研究所「サミット」 14京8600兆回
(3)米国・ローレンスリバモア国立研究所「シエラ」 9京4640兆回
(4)中国・無錫スパコンセンター「神威太湖之光」 9京3014兆回
(5)米国・半導体大手エヌビディア「シリーン」 6京3460兆回
(6)中国・広州スパコンセンター「天河2A」 6京1444兆回
(7)ドイツ・ユーリッヒ研究センター「ジュエルス・ブースターモジュール」 4京4120兆回 ※
(8)イタリア・エネルギー大手エニ「HPC5」 3京5450兆回
(9)米国・テキサス大学「フロンテラ」 2京3516兆回
(10)サウジアラビア・国有石油会社サウジアラムコ「ダンマーム-7」 2京2400兆回 ※
(14)日本・産業技術総合研究所「AI橋渡しクラウド(ABCI)」 1京9880兆回
(19)日本・宇宙航空研究開発機構(JAXA)「TOKI-SORA」 1京6592兆回 ※
※は初めてランキングに登場したスパコン。
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