共有オフィス賃貸を手がける米ウィーワークのマルセロ・クラウレ会長は19日、共同創業者アダム・ニューマン氏の最高経営責任者(CEO)辞任に伴い、ソフトバンクグループ(SBG)と昨年結んだ1億8500万ドル(約195億円)相当のコンサルティング契約は、もはや無効になったとの認識を示した。遠隔開催されたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催の「テック・ライブ」で語った。
クラウレ氏は「コンサル合意が今も有効だとは思わない」と述べた。その上で「アダム(ニューマン氏)は合意の一部に抵触した可能性があり、もはや有効ではない」とした。
ソフトバンクの幹部でもあるクラウレ氏は、継続中の係争問題に関わるとして、ニューマン氏の違反の可能性について詳細は明かさなかった。
ソフトバンクは、ニューマン氏がCEOを退く見返りとして、約10億ドルのウィーワーク株の買い取り、5億ドルの債務借り換え、1億8500万ドルのコンサル料支払いで同氏と合意。ウィーワーク社内などからは、ニューマン氏とのなれ合いの取引だとして批判が上がっていた。
ニューマン氏の広報担当は現時点でコメントの要請に応じていない。1億8500万ドルのうち、いくらかすでに支払われているのかなどの詳細は分かっていない。
ニューマン氏は今春、約10億ドル相当の株式を同氏から購入するとの合意を守っていないとして、ソフトバンクを提訴した。
クラウレ氏は、ソフトバンクは過去数年の自社の投資戦略から何か教訓を得たかとの問いに対して、「ウィーワークに関しておそらく積極的すぎた」と答えた。「ソフトバンクの適切な関与なしに、起業家を自由にさせておくことを容認してしまったかもしれない」
同氏はまた、ウィーワークが2021年には、四半期ベースで収益化を実現できそうだとの見方を表明。その翌年には黒字企業として、キャッシュフローもプラスになるだろうとした。
黒字化には「賃貸物件の入居率が67~68%を超える必要がある」と指摘。新型コロナウイルスのパンデミック以前の入居率は80~85%だったとして、コロナ前の水準を回復できれば、採算がとれるとの考えを示した。ただ、現在の入居率については明らかにしなかった。
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