経世彩民 大月規義の目
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から来年で丸10年を迎えるのを前に、最近、これまで取材してきた政治家や官僚らを改めて訪ねている。その中で、びっくりな裏話を聞くこともある。たとえば、福島県の双葉、大熊両町で整備が進んでいる汚染土壌の「中間貯蔵施設」。公になる寸前まで、最終処分場とする動きがあったという。
拡大する建設中の中間貯蔵施設(手前)と東京電力福島第一原発(奥)=福島県大熊町、2019年11月撮影
当時を振り返れば、第一原発の爆発で、約8万人が強制避難させられた。そうした中、事故の責任を負う側の国が「汚染土の最終処分場を造らせてくれ」とは口が裂けても言えない空気だった。それでも「最終」にこだわっていたのは、除染を担当する環境省だったという。なぜか。
官僚経験者のA氏が「2011年8月26日」にかけた電話の内容から解き明かす。菅直人首相が福島県庁を訪れ、佐藤雄平知事と会談する前日だった。
「あすは何を福島側に提示する?」。電話の相手は、会談を仕切っていた経済産業省の幹部だった。「ローキー(控えめ)でやるよ」。それしか教えてもらえなかった。妙な気配を感じたまま電話を切った。
当日。菅首相が佐藤知事に申し…
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土壇場で消えた「最終処分場」 環境省が模索した事情 - 朝日新聞デジタル版
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