IATA(国際航空運送協会)は現地時間7月28日、世界の航空需要が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受ける前の水準に戻るのは、2024年になるとの見通しを示した。5月の予測では早ければ2023年と予測していたが、需要回復に遅れるが見られるとして、回復基調に入る時期の予測を1年後ろ倒しした。
予測は有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)の回復傾向に基づくもの。各国の国内線など短距離路線は国際線よりも早い2022年の回復を見込んでいたが、2023年に修正した。世界の旅客輸送量が回復するのは、RPKベースで2024年とし、それまでは新型コロナウイルスの影響を受ける前の水準に戻ることはないと明確に示した。
2020年の世界の旅客数は前年比で55%減少すると予測。4月の46%から9ポイント悪化した。また、新型コロナの再流行がみられることや、航空需要の約4割を占める新興国ではウイルスの封じ込めの兆候が見られないとし、各国の入国規制が当面続くことで海外旅行需要が回復する上で大きな足かせになるとしている。
企業の商業渡航も、景気が改善しても企業が出張予算を大幅に抑えると予測。これまではGDP(国内総生産)成長率と航空需要は高い相関関係がみられたが、ビデオ会議の普及により、この関連性は弱まっていると指摘している。
また、観光旅行や、友人・親族を訪ねる「VFR」については、雇用や新型コロナの感染リスクに対する不安が影響するとしている。IATAが6月に実施した旅行調査では、55%の回答者が2020年は旅行する予定がないと回答している。
2021年の旅客数は、2020年と比べて62%増加すると予測しているが、2019年との比較では30%近く減少する見通し。
IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は声明で、「旅客数は4月に底を打ったが回復の力は非常に弱く、改善がみられるのは国内線のみで、平時には世界の航空需要の3分の2近くを占める国際線は、事実上存在しないままだ。世界の多くの地域でCOVID-19が依然として増加している。回復に要する期間が長くなり、航空業界と世界経済にさらなる痛みをもたらすことを示唆している」と述べた。
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