
イタリアでは移動制限や店舗の閉鎖などで経済活動が停滞している(16日、ローマ)=ロイター
【ロンドン=篠崎健太、ジュネーブ=細川倫太郎】欧州債券市場で、新型コロナウイルスの被害が深刻なイタリアの国債利回りの上昇が続いている。感染の封じ込め策により経済活動が広範囲に止まるなか、税収減や政府の支出拡大による財政悪化の不安が強まっているからだ。債券売りはスペインやギリシャといった他の南欧国債にも波及しており、市場はユーロ圏当局の協調対応策の本気度を瀬踏みしている。
イタリアの10年物国債利回りは17日、一時2.4%台と、2019年6月以来の水準に上昇(債券価格は下落)した。3月上旬まで1%前後で推移していた利回りは、直近1週間あまりで2倍に跳ね上がった。欧州中央銀行(ECB)は12日に国債買い入れの増額などを決めたが、債券売りには歯止めがかからない。
イタリアの新型コロナウイルスの感染者数は2万7千人を超えた。10日以降、移動制限や店舗の閉鎖などの封鎖措置が順次取られている。経済活動が全土で寸断し、もともと脆弱だった財政の悪化懸念が意識されている。
イタリア政府は16日、250億ユーロ(約3兆円)の経済支援策を決めた。家計や労働者の保護に100億ユーロを割り当て、住宅ローン返済の猶予や、ベビーシッター代金の補助などの対策を打つ。売り上げが減った企業も支援する。当初は36億ユーロの支援を検討していたが、感染者や死者の急増を受け一気に増額した。
政府債務残高は国内総生産(GDP)比で130%を超え、欧州ではギリシャ(約180%)に次いで重い。20年の財政赤字目標は当初のGDP比2.2%から上振れて、「2.7%になる見通し」(グアルティエリ経済・財務相)だ。
金利の上昇は他の南欧諸国でも加速してきた。同じく感染が深刻なスペインの10年債利回りは、3月上旬まで0.3%前後だったが、17日は一時1%台に乗せた。ギリシャの10年債も2月の1%前後から、足元で2%台半ばまで水準を切り上げている。
ユーロ圏の「周縁国」とも呼ばれるこれらの国々には、中小企業や自営業者の比率が域内でも比較的高い共通点がある。観光収入への依存度も高めで、いずれも新型コロナウイルス対策の封鎖による悪影響が大きい。
英オックスフォード・エコノミクスは「ホテル、飲食店、旅行産業への依存度が高く、個人消費の多くが消失するリスクがある」と指摘し、新型コロナは周縁国経済への打撃が特に大きいとみる。大幅な税収減は避けられず、歳入面からも財政への重圧は強まる。
南欧の利回り上昇は、ラガルドECB総裁の「失言」が拍車をかけた。金融緩和を発表後の12日の記者会見で、国債のスプレッド(上乗せ金利)が広がっていることへの対応を問われ「ECBはスプレッドを縮めるためにいるわけではない」と述べた。当局の本気度に対する投資家の疑念を強める結果になった。
ラガルド氏は16日に開かれたユーロ圏財務相の電話会議に参加し「ユーロ圏の分裂を防ぐために必要なあらゆる措置を取る用意がある」と語った。同会議では景気下支えに向けた財政出動の強化方針を確認したが、金利上昇には歯止めがかかっていない。金融市場は財政・金融当局によるさらに踏み込んだ政策を催促している。
ビジネス - 最新 - Google ニュース
March 17, 2020 at 05:14PM
https://ift.tt/3a3ut9e
イタリアの長期金利上昇、南欧諸国にも波及 - 日本経済新聞
ビジネス - 最新 - Google ニュース
https://ift.tt/2Q4ENIK
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "イタリアの長期金利上昇、南欧諸国にも波及 - 日本経済新聞"
Post a Comment