13日の東京株式相場は大幅続落し、日経平均株価の下げ幅は1000円を超えた。景気後退への不安から下落率は一時10%を超え、2011年3月15日の東日本大震災直後以来の大きさとなったが、午後には金融政策への期待からTOPIXの下げが1.8%まで縮小した。為替相場はドル・円が一時1%を超す上昇となり、106円台に乗せた。
午前は、新型コロナウイルスの感染拡大に対して米国と欧州が打ち出した対策は不十分と捉えられ、リーマン・ショック並みのリセッション(景気後退)になるとの不安が高まり、市場は不安定な動きとなった。
日本銀行はこの日午前に2週連続の国債買い現先オペ(5000億円)に続き、午後にも予定外の国債買い入れオペ(2000億円)を 通知した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場の混乱に配慮して、潤沢な資金供給の姿勢を示しているとみられる。
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〈きょうのポイント〉
財務省と金融庁、日銀の幹部は同日、株価急落を受けて三者会合を緊急に 開いた。武内良樹財務官は会合後、記者団に対し、主要7カ国(G7)が12日に開いた財務相代理による電話会議で、新型コロナの影響への「取り組みで協調していくことを確認した」とした上で、「より一層緊張感をもって市場の動向を注視し、必要な場合はG7、G20(20カ国・地域)の合意に沿って適切に対応していく」と語った。
日本株の大幅安について、アセットマネジメントOneの淺岡均シニアストラテジストは、「日本株を含むリスク資産から投資家が資金を引き揚げている」と指摘。午後の下げ縮小は、「中央銀行から何かしらの対策が出てくるのではないかと期待して急速に戻した」と松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは話した。
岡三証券の山本信一シニアストラテジストは、「新型コロナウイルスの感染拡大は欧米では初動の段階、特に米国に集中していた資金の逆流は継続する可能性がある」と指摘。市場の動揺が収まるまで機関投資家やヘッジファンドはキャッシュ化に動くとした上で、「リーマン・ショック時より資金がリスク資産に集中していたため、株価の下げが大きい」との見方を示した。
オリンピック開催も不安視
今年7月に予定されている東京オリンピック・パラリンピックの中止や延期の臆測も株価を下押しした。トランプ米大統領は12日、東京五輪について、自身のアイデアだと前置きした上で、「1年延期してはどうだろうか」との考えを 示した。
みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、米国が渡航制限を発表し東京五輪の開催も危ぶまれるとなると、「来期は25%程度の減益になる公算があり、その場合の日経平均のフェアバリューは1万5000-1万6000円」と試算。「世界景気は4-6月期のマイナス成長は避けられず、リーマン・ショック並みのリセッションシナリオを市場は織り込みに行っている」と話していた。
12日の米株式市場でS&P500種株価指数とダウ工業株30種平均は1987年のブラックマンデー以来の大幅安となった。この日は欧州、ブラジル、カナダと世界で株安が連鎖。米国の主要3株価指数は全て9%余り下げ、S&P500種は弱気相場入りし、2018年末以降の上昇分を全て失った。
東京外国為替市場のドル・円相場は一時1ドル=106円台に乗せ、朝方の104円台半ばから大幅にドル高・円安に振れた。欧米の政策対応に対する失望から世界的に株安が進んでいたが、アジア時間に取引されている米国株先物が上昇に転じたのに伴い、ドル買い・円売りが強まった。
国内債券相場は大幅下落。長期国債先物の6月物は前日比1円07銭安の153円28銭と、日中取引では2016年以来の下落幅となった。長期金利は一時6ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.005%と約2カ月ぶりにゼロ%に接近。日銀は2週連続で国債買い現先オペ、午後には臨時の国債買い入れオペを実施したが、金融市場の不透明感は根強く、相場への影響は限定的だった。
(市場の動向と外部コメントを追加して更新します)
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March 13, 2020 at 06:03AM
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