日本製鉄が呉製鉄所(広島県呉市昭和町)の第1高炉の操業休止を検討していることが明らかになり、31日、地元に衝撃が走った。造船とともに地域経済の屋台骨を支えてきたが、将来的には全面閉鎖される可能性も拭えず、関係者からは不安の声が聞かれた。【池田一生、賀有勇】
日本製鉄の子会社・日鉄日新製鋼が所有する呉製鉄所では、第2高炉(炉容積2080立方メートル)を2024年度に休止することが決まっている。第1高炉(同2650立方メートル)が止まれば全高炉が操業を停止することになり、鋼板の製造設備を含めた製鉄所の全面閉鎖も懸念される。
日鉄日新製鋼によると、呉製鉄所の従業員は関係・協力会社を含めて約3300人に及ぶ。全面閉鎖となれば地域経済への影響は必至で、呉市内の金属加工会社に勤める男性は「取引がなくなれば打撃は大きい。どう対応したら分からない」と戸惑いを隠せない。呉商工会議所の担当者は「報道では『休止を検討している』段階であって、操業維持に好転してもらうのを願うしかない」と嘆いた。
旧海軍が戦艦大和を造った工場跡に建てられた製鉄所は、高度経済成長期の呉を支えたシンボルとしても知られる。地元経済の根幹を揺るがしかねない事態に、新原芳明市長は31日の会合で「県や中国財務局と連携を取りながら事実確認の把握に努め、一緒に対応する」と話した。湯崎英彦知事は報道陣の取材に「あくまで報道ベースの話。情報を確認したい」と述べた。
鉄鋼の事業環境悪化が背景
日本製鉄が子会社の日鉄日新製鋼が持つ呉製鉄所(呉市)の高炉休止を検討する背景には、国内鉄鋼業を取り巻く厳しい事業環境がある。鉄鉱石などの原料や輸送費などが高止まりする一方、自動車向けなどの鋼材の値上げが追いついていない。国際市況の悪化で輸出も安定収益が得にくい状況だ。
国内鉄鋼メーカーは、競争力強化を目指してこれまで合従連衡を繰り返してきた。近年も川崎製鉄とNKKが統合してJFEホールディングスが誕生したほか、新日本製鉄と住友金属工業が合併して新日鉄住金(現日本製鉄)が発足した。関係者は「統合などにより、相当数の生産設備を縮小してきた」と振り返る。
ただ、事業環境の悪化はそれを上回るペースで進んでいる。国内鉄鋼メーカーは年1億トンを上回る粗鋼生産を続けてきたが、国内の鋼材需要は大きな伸びが期待できない。加えて、中国勢の生産能力は国内勢を大きく引き離しており、国際市場のかく乱要因になりかねない。
日鉄は生き残り策として、収益体質強化に向けた荒療治に踏み切るしかないとの判断に傾いたとみられる。
呉製鉄所
日本製鉄の子会社・日鉄日新製鋼が呉市昭和町に持つ製鉄所。太平洋戦争終結後の1951年、日鉄日新製鋼の前身である日亜製鋼が、旧海軍の工場「呉海軍工廠(こうしょう)」跡地に建設。鉄鉱石を溶かして鉄鋼のもととなる銑鉄(せんてつ)を製造する高炉を2基所有し、2018年度は自動車備品や建材などに利用される粗鋼計273万トンを生産した。従業員は約960人。
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February 01, 2020 at 12:01PM
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