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Amazonもやっている“送料無料” 楽天だけ“総スカン”の理由 - ITmedia

 2月10日、楽天が独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。その理由は「楽天市場」の送料を、3980円以上の商品購入で一部地域を除き無料とすることを推進していたからだ。

 これについて公正取引委員会は、プラットフォーマーが一方的に出店企業に不利な要求を呑ませようとする「優越的地位の濫用(らんよう)」の疑いを楽天にかけたのである。

楽天ホームページに掲載されていた告知イメージ

 一方で、楽天がライバル視しているAmazonは、楽天よりも低額の「2000円以上の商品購入で送料無料」となっている。今回のテーマもこれに似ている施策であったこともあり、Amazonにお咎めがないことに対して「Amazonが優遇されている」という意見も散見される。それでは、本件は本当にAmazon優遇なのだろうか。まずは両社の違いを確認してみよう。

Amazonと楽天は「送料無料のやり方」が違う

 今回、楽天が公正取引委員会の立ち入り検査を受ける決め手となった背景には、出店企業による4000筆以上の署名があった事実も大きい。公正取引委員会のスタンスとしては、本件は企業の不正を暴くというよりも、出店企業とのトラブルの状況を確認する意味合いが強いと考えられる。

 今回の署名運動の要旨は、楽天市場の送料無料施策が「店舗の送料負担を増大させ、経営を圧迫する」というものだ。同じく送料無料施策を実施しているAmazonにはそのような問題は大きく取りざたされていない。

 そうすると、送料無料自体が問題ではなく、送料無料とするやり方に問題があるといえる。そもそもAmazonは2019年4月に、同社が発行するポイントの付与ルールに関して「優越的地位の濫用」で公正取引委員会の立入調査を受け、規約を変更した前例がある。公正取引委員会が「Amazonを優遇している」であったり、「楽天いじめ」であったりという批判は当たらない。

 今回問題と考えられる「送料無料のやり方」をみると、システムにおける送料の考え方が楽天とAmazonの間で出店企業の反応を分けたと考えられる。Amazonのシステムでは、送料や在庫の保管代を負担するのはAmazon側だ。物流と倉庫をAmazonがとりまとめる代わりに、フルフィルメント(FBA)手数料を出店者に課している。

商品の保管から発送、返品まで対応するAmazonのフルフィルメント(FBA)サービス(Amazon Webページより)

 一方で、楽天側は、原則として倉庫と物流は、出店企業が自分で見つけて自分で契約するスタイルだ。出店企業は自前で倉庫や物流を確保する代わりに、楽天に対してFBA手数料といった料金を支払わずに済む。

 ここまでみると、「Amazonは送料をFBA手数料にただ転嫁しているだけで、楽天と変わらない」と思われるかもしれない。しかし、在庫の保管と物流をまとめるFBAの方式にはスケールメリットが生まれる点を見過ごしてはならない。

 Amazonは自前の物流拠点を中央集権的に活用することで、在庫の保管コストを大幅に削減できる。それだけでなく、宅配業者と大口配送契約を結ぶこともできるため、配送料も個別契約より安く済ませることができる。

 では、FBA手数料と一般向けの配送料はどれくらい異なるのだろうか。今回は寸法が60 センチ未満で重量が2キロ未満の荷物について、FBA手数料と大手運送会社の個人向け配送料を比較した。

 まず、大手運送会社の場合、国内のどこに送るかによって料金が変わるものの、その送料は東京〜大阪で880円であった。一方で、FBA手数料の配送代行分に関しては、どこに送るかによらず404円となっている。それだけでなく、商品の梱包やカスタマーサービスも込みであるという充実ぶりだ。課金体系もAWSのクラウドサーバと同じように、pay as you go 方式で、使ったときに使った分だけの請求で、“月額固定費用”のような縛りがないのもメリットの1つだ。

送料無料化には、真のプラットフォーマー化が必須?

 楽天の三木谷社長は立入検査を受けて11日に、「Amazonに勝たなくてはいけない」とコメントした。同時に、同社は物流事業に2000億円を投じているという点を強調するが、同社の物流網がAmazon並みになるにはまだ時間がかかるというのが筆者の考えだ。

 楽天は10年に「楽天物流」を立ち上げ、14年に楽天スーパーロジスティクスとして改革を行っていた。このサービスはAmazonのFBAと近い構想であるが、累計で10年近く事業を継続している割には、店舗の利用度がそれほど高くない。公式サイトによれば、「楽天市場」における足元の出店数5万店舗弱に対して、導入企業は700店舗弱と心もとない。

 楽天は物流拠点を6拠点から20年には8拠点に増加させる戦略だが、Amazonは16年の時点で18の物流拠点を有している。今の楽天は4年前におけるAmazonの半分程度の物流規模といわざるを得ない。

 ここまで考えると、楽天の送料無料施策の実現は、Amazonのように出店企業の負担を減らす施策とセットでなければ難しいかもしれない。そうでなければ、送料負担分は結局商品の価格に転嫁されてしまい、消費者にとって何らのメリットももたらさないだろう。

 したがって楽天には、物流網への積極投資だけでなく、物流ソリューションが追いついていない分について、出店企業の負担を軽減する対話施策への投資も求められていくのではないだろうか。

筆者プロフィール:古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士

中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。

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