楽天モバイルは1月23日、携帯キャリア(MNO)事業の進捗状況について「基地局の開設件数が予定を上回る見込み」とし、正式サービスに先行してMNO回線を使える無料サポータープログラムで2万人の追加募集を始めた。4月に始まるという正式サービスの具体的な開始日については未定としつつも、4月1日に始める可能性を示唆した。
同社の山田善久代表取締役社長は、「1月現在、基地局の開設状況は3000局を超えている。3月には約4400局になる見込み。総務省に提出している、3月時点の計画値3432局に対し大きく上回る」と話した。
同社は2019年に、基地局整備の遅れで総務省から3度の行政指導を受けていた。状況が好転した理由として、山田社長は「一概には言えないが、楽天グループ全体から数百人規模が応援に来ており、用地交渉などを進めている。グループの総力を挙げているのが大きな要因だ」とした。
正式サービスを2カ月後に控え、これまで5000人程度にとどめていた「無料サポータープログラム」に、2万人を追加募集する。前回の募集で落選した人は優先的にプログラムに参加できる権利を持つという。
無料サポータープログラムは、正式サービス提供前に楽天モバイルのMNO回線を試験的に使えるプログラム。国内外を問わずデータ通信や音声通話、SMSを無制限で使える。
追加募集の対象者は、東京都23区、大阪市、名古屋市、神戸市に住む18歳以上の人。参加要件として、品質テストやアンケートへの回答や、楽天の回線に対応する製品の利用に加え、23日からサービスが始まったメッセージアプリ「楽天Link」(β版)の利用を求めている。特典として、楽天回線対応製品の購入で楽天スーパーポイントを1万8000ポイント、アンケート回答で月に1000ポイント付与する。申し込み期間は2月3日午前9時59分まで。
楽天Linkは、電話機能、連絡帳機能、メッセージング機能を集約したアプリ。高機能なメッセージサービスの規格である「RCS」(リッチコミュニケーションサービス)に準拠しているというが、同様にRCSに準拠している携帯大手3社の「+メッセージ」との相互接続については「可能性はあると思うが、今のところ白紙」(山田社長)だという。まずはメッセージアプリとして楽天Linkをスタートするが、将来的にはゲームやAIサービスなど、同社が提供するアプリケーションのハブとして機能させたい考え。
無料サポータープログラムの実施期間は3月31日までを予定している。正式サービスの開始日について楽天モバイルは明らかにしていないが、「無料サポータープログラムの終了から正式サービスの開始までに空白期間はあるのか」という記者団の質問に対し、「空白期間はないようにする。開始日が決まっているわけではないが、もし4月1日に始めない場合には無料サポータープログラムの期間を延長する」(山田社長)とし、4月1日にも正式サービスが始まる可能性があることを示唆した。
無料サポータープログラムの追加募集と同時に、同社独自のAndroidスマートフォン「Rakuten Mini」も発売した。価格は2万1800円(税込)。Rakuten Miniは、FeliCaを搭載する端末としては「世界最小・最軽量のスマートフォン」(19年7月時点、同社調べ)。
重量は79グラムで、サイズは約106.2(高さ)×約53.4(幅)×約8.6(奥行き)ミリ。ディスプレイは3.6インチで解像度はHD(1280×720ピクセル)。CPUにはSnapdragon 439を採用し、OSはAndroid 9となる。バッテリー容量は約1250mAhで、丸一日充電なしで利用できるかどうかは「使い方次第」(展示担当者)としている。
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