とうとう身売りである。12月12日、大塚家具がヤマダ電機の子会社になることが発表された。デイリー新潮は「大塚家具、メーンバンクに見捨てられ年内がヤマ? 久美子社長はそれでも余裕」(9月30日配信)など、大塚久美子社長(51)では経営が成り立たないことをたびたび報じてきた。だが、関係者にとってはヤマダ電機がおよそ44億円を出資することとなって一安心……とはならなかった。彼女は子会社となってなお社長を続けると言うのだ。
まずは12日、久美子社長とヤマダ電機の山田昇会長(76)が揃った記者会見より、久美子社長の挨拶を紹介しよう。
久美子社長:みなさま、本日は大変お忙しい中、お越しいただきまして誠にありがとうございました。さて、私が大塚家具の社長を引き受けましてから、11年が経ちました。その間、新しい時代、令和の時代にも通用する大塚家具のあり方を模索して参りました。大塚家具は、一人一人にとっての上質な暮らしを提供することをミッションにする、人の暮らしを豊かにする家具を提供するブランドでございます。この理念、DNAを継承し、時代に合った大塚家具にするために、あえて父の時代のやり方を変えなければならないこともありました。そのような観点から、今期までの抜本的な構造改革を行い、おかげさまで黒字まであと一歩というところまで来ることができました。そしてさらに新しい大塚家具を発展させるために、単に家具を提供するだけの企業ではなく、お客様の目線で生活提案ができるようにしたいと考え、ヤマダ電機様との提携を決めました。
――ここで、エッと思った方も少なくないのではないか。久美子社長が行ってきた“抜本的な改革”のおかげで、毎年数十億円もの赤字を出し、今年も11月14日に発表された第3四半期の決算で30億円もの赤字を計上している大塚家具である。ところが“黒字まであと一歩”と言うのだ。しかも、ヤマダ電機への身売りは、大塚家具の経営悪化のためではなく、あくまでお客のためだ、と言うわけである。彼女の発言はまだ続く。
久美子社長:2月の(ヤマダ電機との)業務提携発表以来、大塚家具からヤマダ電機様への人の派遣、商品の供給、そして7月には前橋におけるコラボ店舗の試みと、協業の実験を重ねてきました。そしてこの協業には、大きな可能性があると確信しております。ヤマダ電機と大塚家具が提携することで、家電・家具という枠を超えて、暮らしの新しい選び方を提案します。流通の都合ではなくお客様が選びやすい店作りを、一過性のファッションではなく心から愛せるお部屋作りを、暮らしを縦割りにしてきたこれまでの売り場をワンストップで買える場所に変え、広く多くの地域へ届けていきます。
――希望に満ちあふれた発言は、まるで新たな事業をスタートする新社長のようだ。
久美子社長:大塚家具の店舗においても、8Kテレビのようなハイスペック高級家電とラグジュアリーな家具を合わせて、トータルな空間提案ができるようになります。暮らしを縦割りにしてきたこれまでの売り場をワンストップで買える場所に変える。スタートは家電と家具という異なるジャンルですが、暮らしをトータルに提案するというゴールは同じです。今までのニッポンにない暮らしの新しい選び方を、ヤマダ電機様とご一緒に提供して参りたいと思います。ありがとうございました。
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