総務次官による行政処分情報の漏洩(ろうえい)で、本来厳しく監督すべきはずの官庁がなれ合いに染まっていたことが明らかになり、かんぽ生命保険の不適切販売問題が混迷を深めている。日本郵政グループのガバナンス(企業統治)の欠如が問題の根本原因だが、それを官庁や政治が許容してきた構図も浮かび上がる。問題収束はさらに遠ざかった。
■鈴木副社長は「実質的な最高権力者」
「信頼回復のために社員みんなで必死なのに、一体何がしたかったのか」。日本郵政関係者は情報漏洩の一報を聞いて嘆いた。
情報の漏洩先だった日本郵政の鈴木康雄副社長は、ある国会議員をして「郵政グループの実質的な最高権力者。長門(正貢)社長なんて目じゃない」と言わしめる。かんぽ生命保険の不正販売問題を報じたNHK番組への抗議を主導したことでも有名。官邸との関係も深いのがパワーのゆえんだ。
その人物が総務省の事務方トップの鈴木茂樹前総務次官と結託していた。天下りで経営陣に幹部を送り込む手法は旧郵政省時代から続く。平成25年6月に鈴木副社長が日本郵政入りして以降、旧郵政省出身で先輩後輩関係にあった事務次官はほかにも電通グループ副社長を務める桜井俊氏(27年7月~28年6月)もいる。
先輩と後輩の間柄で厳格に引かれるべき一線が曖昧になり、かんぽ不正の温床になったともみえる。
■グループ人事案、ちゃぶ台返しも
今回の問題が日本郵政グループのトップ人事に影響を与えることは必至だ。高市氏は「総務省OBが郵政グループなどの取締役に就任することは問題」と言及した。郵政グループの3社長は18日の会見で進退への明言を避けたが、「金融庁の行政処分が出る27日にも人事が発表されるのではないか」(関係者)との見方もある。高市氏の発言で検討されている人事案がちゃぶ台返しになる可能性もある。
(万福博之、高木克聡)
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December 20, 2019 at 09:06PM
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