KDDIは12月16日、ローソンと、ポイントサービス「Ponta」を手掛けるロイヤリティ マーケティングと資本・業務提携すると発表した。ローソンの発行済み株式の2.1%、ロイヤリティ マーケティングの発行済み株式の20.0%を取得し、スマートフォン決済などの分野で協業する。KDDIの高橋誠社長は、au PAYとPontaを連携させ「PayPayの対抗軸にする」と自信を見せる。
具体的には、KDDIが発行している「au WALLETポイント」を、2020年5月をめどにPontaポイントに統一。スマホ決済サービス「au PAY」の登録者数を600万人超(19年10月7日時点)からさらに増やす考えだ。両サービスを合わせると会員数は1億人以上となり、モバイル口座数は2200万件、年間ポイント付与額は2000億円を超える。
一方、Zホールディングス(HD)が手掛ける「PayPay」のユーザー数は累計2000万人を突破(19年11月18日時点)。LINEが手掛ける「LINE Pay」の国内登録ユーザー数は3690万人に上る。両社の統合により、業界の勢力図が大きく変わることが想定される中、KDDIはコンビニ大手と組んでスマホ決済市場での生き残りを目指す。
KDDIの高橋社長は「資本・業務提携はZHDとLINEの経営統合前から協議を進めてきたものであり、両社の影響を受けたものではない」としつつも、「決済サービスは競合各社が力を入れているので、意識はする」と対抗心をのぞかせた。
KDDIとローソンは、スマホ決済だけでなく、5Gやロボットを活用したコンビニ運営の分野でも協業する。KDDIが持つ通信技術をローソンの実店舗に提供し、顧客の趣味嗜好に合わせた商品をスマホにレコメンドするサービスや、5Gを利用したスピーディーな在庫管理システムを構築し、食品ロスの低減を目指す。ロボットによる無人受け取りサービスも提供し、顧客の利便性向上と従業員の業務効率化を後押しするという。
高橋社長は「われわれは単なる決済手段の提供ではなく、購買動向などの顧客データを活用し、ネットとリアルのデータを融合させて新しい体験を生み出す」と、他社との差別化要因を強調した。
ローソンの竹増貞信社長も「アルコールなど、対面での年齢確認を行わないと販売できなかった商品も、遠隔地から年齢確認ができる認証技術があれば、無人でも販売できるようになる」と説明。「テクノロジーの力があれば解決できることが数多くあるので、KDDIが持つ技術力やアイデアに期待したい」(竹増社長)
ローソンとロイヤリティ マーケティングの親会社である三菱商事も、今回の業務提携に期待を寄せる。京谷裕コンシューマー産業グループCEOは、「テクノロジーやデジタルの進歩によって、時代はますます変化していく。(三菱商事グループは)コンビニ、スーパーなどリアルの店舗を軸に事業を展開してきたが、今後はテクノロジーやデジタルに強い企業とのアライアンスを強化していきたい」と語った。
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