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任天堂、中国で10日スイッチ発売 成長市場に3つの壁 - 日本経済新聞

テンセントは任天堂の「ニンテンドースイッチ」を中国で10日に発売すると発表した(4日、上海市内)

テンセントは任天堂の「ニンテンドースイッチ」を中国で10日に発売すると発表した(4日、上海市内)

任天堂と中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)は4日、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を10日に中国で発売すると発表した。価格は2099元(約3万2千円)で、クリスマス商戦を前に売り出し、米国と並び世界最大の中国ゲーム市場を開拓する。任天堂は自前での中国進出で過去に2度失敗している。中国での正規販売代理店として契約を結んでいるテンセントと組み、「三度目の正直」に挑むが、3つの壁が立ちはだかる。

4日正午、アリババ集団と京東(JDドットコム)の電子商取引(EC)サイトでそれぞれ予約受け付けを開始した。ソフトは「NewスーパーマリオブラザーズUデラックス」を売り出す。同日、上海市内で開いた中国メディア向けの記者会見で、任天堂の宮本茂代表取締役フェローは「任天堂はずっと前から中国の顧客にゲーム娯楽を提供したいと願ってきた」とビデオメッセージを寄せた。

もっとも中国でスイッチの売り上げを伸ばすには3つのハードルがある。

一つ目は中国のゲーム文化の特異さだ。同国では2000年、中国共産党系紙がゲームセンターに小中学生が泊まり込んで没頭する実態をルポし、社会問題になった。ゲームの「麻薬的依存性」を問題視した政府はゲーム機の製造や輸入を禁じるよう通知。そのため専用機市場は育たず、代わりに「抜け道」となったパソコンやスマートフォン向けのゲーム開発が盛んになった。

調査会社MobData研究院によると中国のゲーム市場はスマホ向けが6割超、パソコン向けが4割弱を占め、家庭などで使う専用機は1%未満にとどまる。世界では専用機市場が20~30%を占めるとされ、中国の独特さは際立つ。任天堂の古川俊太郎社長も「専用機で遊ぶ習慣がなくハードルは高い」と認める。

テンセントは中国のゲームショー「チャイナジョイ」で、「ニンテンドースイッチ」の試遊コーナーを設けた(8月、上海市)

テンセントは中国のゲームショー「チャイナジョイ」で、「ニンテンドースイッチ」の試遊コーナーを設けた(8月、上海市)

障壁の2つ目は海外版のスイッチが中国で既に流通していることだ。アリババ集団の淘宝網(タオバオ)など電子商取引(EC)プラットフォームでは輸入業者などが日本版や香港版のスイッチを2千元強で売り、1500元程度の中古品もある。スイッチに興味を持つ消費者は既に海外版を手に入れている可能性がある。

任天堂とテンセントが中国正規版として今回スイッチを売り出す意味について市場関係者は「正規の修理サービスが受けられ、ネットサービスの安定性などで強みがある」(中原証券)とみる。ただ、裏を返せば海外版との差は細かなサービス面でしかないとも言える。日本で17年3月に発売され、中国でも一部流通している中でスイッチが新鮮さを打ち出せるかは不透明感が漂う。

第3は国策リスクだ。中国ではゲームの新作を発売するために監督当局の許可を得る必要があるが、18年3月に審査が凍結され同年12月まで再開されなかった。政府が青少年のゲーム依存への懸念を再び強めたためだ。

調査会社の伽馬数据(ガンマデータ)などによると18年の中国のゲーム市場は17年比5.3%増の2144億4千万元(約3兆3千億円)と前年成長率の23%から大きく鈍化した。審査再開後、ゲーム関連企業の業績は回復しつつあるが、政府の監視の目が緩んだわけではない。

当局は10月下旬、未成年(18歳未満)によるネットゲームの利用で新たな規制方針を打ち出した。夜10時から翌朝8時までゲームサービスの提供を禁止する。また利用時間は平日に1時間半、土日祝日は3時間を超えてはならない。「アイテム課金」など有料サービスでも制限を設ける。

任天堂もこうした国策への対応が不可欠で、業界リーダーであるテンセントに頼る見込みだ。同社は一部の政策を先取りするかたちで、子供の利用制限システムなどを自主導入してきた。

任天堂とテンセントの幹部は「チャイナジョイ」にあわせて、協業について説明した(8月、上海市)

任天堂とテンセントの幹部は「チャイナジョイ」にあわせて、協業について説明した(8月、上海市)

任天堂にとってはほぼ手つかずの中国市場を攻略できれば大きな成長エンジンとなり得る。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「中国市場の攻略はアジア市場全体にもインパクトをもたらす」と指摘する。

格闘ゲームなどで人間やモンスターのリアルな描写に人気が集まる欧米に対し、日本や中国を含めたアジアでは、キャラクターのかわいらしさなどが好まれるとされる。中国で任天堂ゲームの人気に火が付けば、アジアにも広く波及する可能性があるとみる。

中国市場で成功すれば、「スーパーマリオ」や「ポケットモンスター」を代表に任天堂が注力するIP(知的財産)ビジネスなど、ゲーム以外の分野での相乗効果も大きい。任天堂はテンセントが抱える対話アプリのほか動画やニュースなどのプラットフォームでの露出も期待しているとみられる。

魅力も大きいが、難易度も高い中国。その市場で成功できるかは、スマホゲームで出遅れ、IT企業がクラウド型ゲームで攻勢をかける中、任天堂が成長シナリオを描けるかを占うことになりそうだ。

(広州=比奈田悠佑、川崎なつ美)

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December 04, 2019 at 11:50AM
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