ぺんてるの連結子会社化を発表するコクヨの黒田英邦社長（右）（15日、東京都港区）
文具最大手のコクヨは15日、筆記具大手ぺんてるの既存株主から株式を買い取り、同社の買収を目指すと発表した。1株3500円で取得し、議決権比率を現在の37.8%から50%超に引き上げる方針だ。買収には38億4200万円以上かかるとしている。コクヨは5月に投資ファンドを通じてぺんてるに間接出資して以降、提携協議を続けてきたが、膠着状態に陥っている。経営権を握り事態の打開をめざす。
コクヨの黒田英邦社長は同日、東京都内で記者会見し、株式を買い増す理由について「ぺんてるが第三者と大規模な資本提携を進めるとの情報があり、実行に移っている可能性が高い」ためだと説明した。第三者は文具大手プラスとみられる。
ぺんてるは非上場で、取引先やOBなど数百の株主がいるもよう。同社の株式には、株主が譲渡しようとする場合にぺんてるの承認が必要となる「譲渡制限」がある。
このためコクヨは、今回の計画をぺんてるの臨時株主総会まで持ち込むことを想定した。まず既存株主から株式を買い取る際、ぺんてるの総会での議決権をコクヨに委任することもセットにする。ぺんてるが取締役会で譲渡を却下すれば、臨時の総会を開き経営陣の刷新を提案するという。
コクヨは5月、ぺんてるの筆頭株主だった投資会社マーキュリアインベストメントのファンドに101億円出資し、間接的に株式を保有した。ぺんてるの事実上の筆頭株主となった。9月にはファンドから株式を取得し、直接出資に切り替えた。独立性を保ちたいぺんてるは、コクヨにこれ以上株式を買い増さないよう求めていた。
コクヨがファンドを通じて間接出資した際、コクヨから事前の説明がなかったことでぺんてる側は反発した。それでも直接出資に切り替えた際には、ぺんてる側が拒んでいた「協力関係構築に向けた協議」を始めることで合意し、一度は歩み寄ったようにもみえた。
ぺんてるはコクヨの直接出資を受け入れ、協業などの協議を前進させる（東京都内のぺんてる本社）
黒田社長は「海外での連携協議は比較的進んでいたが、国内事業の検討は議論が進まないことがあった」と話した。こうした状態を打開するため買収に踏み切る。
今後の焦点は、実際に50%超の議決権比率を確保できるかどうかだ。黒田社長は「ぺんてる株の売却の意向を持った人と接触した事実はあるが、進捗を話すのは避ける」と述べるにとどめた。
ぺんてるは同日、「第三者との資本提携をコクヨに事前に知らせるという取り決めはない」とコメント。和田優社長は社内幹部に「なんら後ろめたいことはしてない」と説明した。
コクヨは2018年12月期の連結売上高が3151億円と、ぺんてるの約8倍だ。ただ、ぺんてるはコクヨが手薄なペンに強く、重複商品が少ない。海外売上高もぺんてるが6割を超える一方、コクヨは1割に満たない。海外市場の開拓のためにもぺんてると組みたいとの立場を崩さない。
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November 15, 2019 at 02:45PM
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コクヨ、ぺんてる子会社化めざす 株式買い増す方針 - 日本経済新聞
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